国産キウイはなぜ珍しいのか?その理由と背景

スーパーの果物コーナーでキウイフルーツを手に取ったとき、産地の表示を見たことはありますか。実は、日本で売られているキウイの多くは海外からの輸入もので、国産キウイ(こくさんきうい)はそれほど多く出回っていません。国産キウイが珍しいと言われる理由と、それでも各地で育てられている背景を紹介します。

日本で売られているキウイの多くは輸入もの

農林水産省の統計によると、日本国内のキウイフルーツの収穫量は減少傾向が続いており、2022年でおよそ2万2千トンです。一方で、生鮮キウイの輸入量は年間8万〜12万トンほどにのぼり、そのうち9割以上がニュージーランド産です。数字だけを見ても、国内で流通しているキウイの大半は海外からの輸入もので、国産は全体のごく一部にとどまっていることが分かります。

キウイフルーツはもともと中国原産の果物で、ニュージーランドで品種改良が進み、世界中に広まりました。日本でも一時期は栽培が広がりましたが、輸入品との価格競争もあり、国内の収穫量は緩やかに減り続けてきました。

「キウイフルーツ」という名前も、ニュージーランドから広まった歴史を映しています。1959年、この果物をアメリカへ輸出する際、茶色く毛の生えた見た目がニュージーランドの国鳥「キーウィ」に似ていることから、この名前がつけられました。中国生まれの果物が、ニュージーランド経由で世界に広がり、日本にも輸入されている、という流れそのものが、いまの国産キウイの立ち位置を物語っています。

受粉から手のかかる、キウイ栽培の事情

国産キウイが増えにくいのには、栽培そのものの手間も関わっています。キウイフルーツは雌木と雄木が別々になっている植物で、実をつける雌木の近くに、花粉を出すための雄木を植えて育てる必要があります。両方の花が咲く時期を合わせなければならず、天候によっては人の手で受粉を助けることもあります。

果肉の色によって品種もさまざまです。なじみのある緑色の果肉は「ヘイワード」系、黄色い果肉は「ゴールデンキウイ」系、赤みを帯びた果肉は「レインボーレッド」など、味や香りの違いを楽しめる品種が国内でも育てられています。ただし、こうした品種ごとの手間の分だけ、大量生産される輸入品と比べて数が限られやすくなります。

それでも各地で育てられている国産キウイ

国産キウイの生産量が多い都道府県を見ると、1位は愛媛県で、福岡県、和歌山県、神奈川県、静岡県と続きます。上位5県で国内生産の6割以上を占めており、いずれも柑橘類の産地として知られる地域です。キウイも柑橘と同じように、温暖で水はけのよい土地を好むためです。

たとえば神奈川県小田原市は、温州みかんの栽培では「北限」として知られる地域です。冬でも比較的暖かく、山の斜面が水はけを助けるこの土地は、みかんだけでなくキウイの栽培にも合った環境として、産地のひとつになっています。

旬はいつ?収穫から食べ頃までの時間

国産キウイの収穫適期は、関東地方ではおおむね10月下旬から11月にかけてです。果肉の色によっても時期は前後し、赤肉種は早め、緑肉種は遅めに収穫されます。ただし、収穫したばかりのキウイは硬く酸味が強いままで、そのままでは食べられません。りんごやバナナと一緒にポリ袋に入れ、15〜20度ほどの場所に置いておくと、1週間前後で食べ頃の柔らかさになります。

店頭に並ぶ国産キウイは12月頃から出回り始め、2月・3月頃には輸入ものと変わらない価格で手に入るようになります。旬の時期に直売所や道の駅で産地の表示を確かめてみると、国産キウイに出会える機会が増えます。

ただ、店頭に並ぶ時点ですでに追熟が始まっているものも多く、木になっている状態そのものを見る機会は、直売所や小売店ではなかなかありません。木になっている状態から自分で採って持ち帰り、硬かった実が日を追ってやわらかくなっていく変化を確かめられるのは、収穫したものを自分の手元に置いてはじめて味わえる時間です。

頭の上で実る果物、キウイの収穫はひと味違う

いちごやみかんの収穫は、腰をかがめたり手を伸ばしたりと、目線の高さで進むことが多いものです。一方でキウイは、つる性の植物を棚に這わせて育てるのが一般的です。実は頭の上に広がる葉の下にぶら下がっていて、見上げながら一つずつ手でもぎ取っていきます。同じ収穫体験でも、体の動かし方も見える景色もまったく違います。

畑に立つと、平地とは違う傾斜や風の通り方を体感できます。「なぜこの土地でこの作物が育つのか」は、写真や説明文だけでは伝わりにくく、実際に足を運んで初めて分かることのひとつです。国産キウイの生産地を巡ってみると、輸入もので育った印象とはまた違う、そうした土地ごとの事情が見えてきます。

小田原で、キウイの収穫体験ができます

noumee(ノウミー)では、こうした国産キウイを木から自分の手で収穫できる体験を、神奈川県小田原市で予約できます。舞台になっているのは、山の斜面に広がる畑です。この生産者さんは、農薬をできるだけ使わず、自然のしくみに逆らわない農業を目指して、キウイを育てています。手のかかる受粉作業も、棚の上まで手を伸ばす収穫も、輸入品にはない工程を一つひとつ積み重ねた結果として、国産キウイは食卓に並びます。

体験では、キウイを5個持ち帰れるほか、同じ畑で育てているみかんも1キロまで持ち帰れます。現地ではみかんの食べ放題もあり、2時間ほどの滞在で、山の畑を歩きながら収穫を楽しめます。開催は2日間限定です。持ち帰ったキウイは、追熟の進み具合を確かめながら、自分の好きな食べ頃を見つける時間もあわせて楽しめます。

体験の詳細を見る

この生産者さんは、隣接する神奈川県開成町でも野菜の収穫体験を開いています。同じ足柄・小田原一帯の気候や地形が、キウイやみかんだけでなく多様な作物を育てる土台になっており、あわせて読むと、この地域一帯の農業の背景がより分かります。

生産者さんのページを見る

神奈川県開成町の記事を読む

神奈川県の他の収穫体験は、こちらから探せます。